2024年6月11
当院が開院して初めてコラムを書きます。
今年は梅雨入りが遅れていますが、当院開院の3月以降、雨が多いように感じていました。
統計的にも今年は例年より降水量が多いようです。
梅雨には様々な不調が起こりやすいのでコラムのテーマにしたいと思います。
当院でお話を伺う機会が多いのは、「雨降り前」に悪化しやすい体調不良です。
たとえば、
- 頭痛
- めまい、耳鳴り
- 肩こり
- 関節痛、古傷の痛み
- むくみ
- 月経前のイライラや気分の落ち込み
このような症状が長引くと自律神経も参ってしまいます。合併しやすいのが睡眠障害です。
- 何回も目が覚めてしまう(中途覚醒)
- 夢が多い(とくに悪夢)
このような症状で困っている方には漢方治療が合うかもしれません。
漢方医学的には「水の異常」と「気の異常」や、それらの合併として治療します。
漢方薬にも様々な薬がありますが、一人ひとりの体調に合わせて選択し、場合によっては複数を組み合わせて治療を行います。
寒暖差と自律神経
自律神経は暑い時は暑いなりに、寒い時は寒いなりに体の内部を一定の環境に保つべくフル稼働しています。自律神経は本人の知らないところで何事も起こっていないかのように体内環境を調整するすごい仕組みなのです。
6月は日中の気温が高くなる一方、朝晩はまだ肌寒く感じることもあります。暑いのか、寒いのか、どっちなのか。自律神経は6月の気温に翻弄され疲れてしまいます。まして、梅雨入りするとなるとジメジメした不快な刺激まで加わり、自律神経も参ってしまいます。
自律神経が疲れる → 睡眠が浅くなる。寝ている途中で何回も起きる。夢が多い(特に悪夢)。朝起きた時に背中や首、肩、腰が痛い。さらには、強い倦怠感や気力の低下も起こりえます。
この自律神経失調状態は、昼夜の寒暖差が大きくなってくる4月から6月にかけて多い印象です。まずはぐっすり眠ることが回復への近道で、それをサポートする漢方薬もいくつかあります。考え事をしてしまい眠るのに時間がかかるのか、何となく眠れないのか、入眠はスムーズでも途中で起きてしまうのか。そのような特徴に合わせて漢方薬を選びます。
梅雨に起こりやすい体調不良
不快なストレスがあると体に水が溜まりやすくなります。また、湿度が高いと体が感じる不快レベルも上昇します。雨と湿度の関係を体が知っているためか、気圧が低下するときは様々な症状が起こりやすくなります。このような時に起こる症状は、漢方医学でいうところの「体に水が溜まって起こる症状」です。漢方医学では「水の巡りの問題」として捉えます。
例)
- 頭 → 頭痛
- 耳 → めまい、耳鳴り、立ち眩み
- 四肢 → むくみ
- 怪我や痛みがある状態、古傷 → 痛み
- 消化器 → 下痢
- 月経前 → これらの複数の症状が同時に起こる
これらの症状は体の色んな部位に水が溜まって起こる一時的な機能障害の状態ですが、その水の居所を正常化する治療薬(漢方薬)は様々です。症状は単独ではなく複数を合併することもあるため、治療は漢方に詳しい医師にお任せ願いたいところです。
自律神経と水の巡りの関係
自律神経失調と水の巡りの問題はお互いに影響しあいます。それは、自律神経失調そのものがストレスの原因でもあり、それにより体が水を溜めやすくなってしまいます。体に水が溜まると不快な症状ゆえ、身体の不具合を補うべく更に自律神経に負荷がかかってしまいます。このようにして悪循環が出来上がります。これにより、動悸がしたりパニック症状に至ったりするケースもあるように見受けられます。漢方治療で悪循環を断つと心と体がスッキリ軽くなることもあります。
最後に
私自身、水の巡りが悪い体質です。
雨降り前は体調が優れません。そのほか、騒音が苦手、人込みや閉所も苦手、眩しい光も不快、トンネルの運転は目が回りそうになります。そして、スッキリと晴れた日はとても心地よく清々しいです。そのときの青い空の色が「あまいろ」です。