2024年8月29
猛暑が続きます。
訪問診療で屋外に出ると暑さのため身の危険を感じます。
今回は、夏に起こりがちな体調不良についてまとめます。
1.身体がだるい
体がだるい、元気がでない状態は、医学的には倦怠感といいます。倦怠感の原因は様々なため、それぞれの原因に合った対処が必要です。
- 1-a 流れるように汗をかく、それに伴い喉が渇く
漢方医学的には体に熱がこもった状態で、身体の水分が失われています。命に係わる脱水を防ぐべく、喉の渇きを感じることで水分を摂取します。しかしながら、その水分もまた汗として体外に出てしまうため、脱水の危険は去りません。このような状況下では発熱を来すことがあります。
治療としては、1番重要なことは水分を補充することです。塩分を含む水分(スポーツドリンクやスープなど)をしっかり飲むことで水分を補います。漢方治療としては体に籠った熱を去る「清熱」作用のある生薬や体に水分を保持する「滋潤」作用のある生薬を含む漢方薬を考慮します。 - 1-b 食欲がなく、体がだるい
暑くて食欲がないために口当たりのよい「そうめん」などの口当たりのよいものしか食べられない。これは、暑くて体力が低下するのと同時に消化吸収機能も低下している状態といえます。暑さで体に熱が籠り、身体全体としては脱水傾向にあります。
漢方治療としては体に籠った熱を冷ましつつ、体内の水分を保持し、胃腸の動きを整える生薬を含む漢方薬を考慮します。
2.頭がのぼせてふらつく
身体に熱が籠って頭がふらつくことがあります。脱水や倦怠感、消化機能の問題がない場合は、体に籠った熱を冷ます漢方薬で治療します。便秘の有無で使う薬が異なります。
3.手足がほてる
手足がほてって寝苦しい、ほてった手足に湿疹ができるなどの症状があるときは、手足の熱を取り去る漢方治療を行います。通年性の症状であったり、難治の場合は別の原因の関与も考えながら複数の治療薬を併用することもあります。
4.食欲がない
暑さで元気がなく食欲もないときは先述の「1-b」の治療を行います。そのほか、夏は冷たい食べ物や冷房で胃腸が冷えて起こる食欲不振もありますし、暴飲暴食で起こる食欲不振もあります。原因に心当たりがある場合には生活習慣の改善である程度の改善は見込めます。それでも症状が続く場合には漢方治療を検討します。