2024年10月22
昼でも涼しくなり、夏の暑さが嘘のようです。
柿、栗、さんまなど、秋の味覚でも季節を感じます。
過ごしやすさを感じる一方で、朝晩は冷え込むようになり、秋の花粉によるアレルギー症状も増えています。夏に続き、風邪症状で来院される患者さんも多いです。
この季節は私たち漢方医にとっては腕の見せどころです。
よくある症状のパターンをご紹介します。
1.頭痛
9月に引き続き、台風や気圧変化に伴っておこる頭痛やめまいが増えます。気圧の変化だけではなく、以下に述べる体調不良によるストレスで気圧変化に敏感に反応している可能性があります。
梅雨と並ぶ、頭痛やめまいのハイシーズンです。
2.全身倦怠感
体は自律神経によって、体内の環境が一定になるようにコントロールされています。この働きにより、外の環境変化が変化してもある程度は耐えられるようになっています。
しかしながら、秋は1日の寒暖差が非常に大きいため、自律神経系に大きな負荷がかかってしまいます。寒暖差で自律神経が失調してしまうと、活発に働くべき日中に交感神経の作用が弱く、元気がでないこともあります。そして、夜に働くべき副交感神経が優位になれないことによって、深い睡眠が妨げられることになってしまいます。
睡眠の質が低下すると、十分な睡眠時間をとったつもりでも疲れがとれません。また、眠りが浅いと体の筋肉がリラックスできず、全身の痛みが出やすくなります。とくに、起床時に首・肩・腰が痛むときは睡眠の質について考慮するのが良いでしょう。
3.鼻炎、皮膚炎
秋は花粉シーズンであり、アレルギーの季節です。鼻炎、皮膚炎、喘息などが増えます。まずは、それぞれについては現代医学的な治療をお勧めします。それでもなかなか良くならない場合は漢方治療も良いでしょう。ここでは、次の冷えに着目します。
4.冷え
体が冷えると気道の分泌物増加や気道収縮が起こりえます。症状としては、鼻づまりや咳、喘鳴が起こります。長期的に体が冷えると白血球のうちの好酸球の比率が増えやすくなります。アレルギー性疾患のときには好酸球比率が増えるため、冷え症ではアレルギーが起こりやすくなっている可能性があります。
1日のうちで、深夜から早朝にかけての時間に最も副交感神経が活発になり、同時に体温が低くなります。
よって深夜から朝方にかけて冷えの症状が起こりやすくなります。
この時間帯に蕁麻疹、鼻づまり、喘息発作が起こる傾向があるという方はアレルギーの治療のみならず、冷えの治療を併用することをお勧めします。
ハウスダストやカビにアレルギー反応がある方は自宅にいる時間帯に症状が悪化する可能性はありますが、花粉への暴露は少ない時間帯のため、花粉に対するアレルギー症状が朝方に悪くなるというのは考えにくいでしょう。
初霜のころになると、急にしもやけ(凍瘡)が起こることがあります。これについては次のシーズンのコラムのテーマとします。